前に出て狙う賜杯=朝乃山、平幕第1号の給金-大相撲名古屋場所(時事通信)

上位不在の混沌(こんとん)とした土俵で、平幕第1号の勝ち越しを決め、給金を直したのは幕内6場所目の朝乃山だった。「体を思い切りぶつけた結果」と胸を張った。

 過去3戦3勝だった石浦を抜かりなく攻めた。立ち合いから大きな体を生かして前進。小兵を懐に入らせず、回り込んで勝機を探る相手を逃さない。最後は右腕をぶつけるようにして土俵の外に吹っ飛ばした。中入り後の最初の取組だったこともあり「緊張した」と言うが、まわしを引けなくても動じない速攻だった。

 新入幕だった昨年9月の秋場所は右四つの本格派として優勝争いに絡む10勝を挙げたが、その後は才能を持て余した。

 今場所は左足の古傷への不安も払拭(ふっしょく)できており、この日のように前に出る相撲が目立ってきた。八角理事長(元横綱北勝海)は「踏み込んでいるからぐっと押し込めている」と変化を感じ取った。

 関脇御嶽海が全勝で走る中、遠藤が2敗に後退し、唯一、1差で追う立場になった。「こんなチャンスはめったにないので、物にしたい」。言葉にも勢いがあった。