北朝鮮が建国70年に合わせ大赦 金正恩氏の「人民愛」を強調、人道配慮を対外アピールか(産経新聞)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮朝鮮中央通信は16日、最高人民会議常任委員会が9月9日の建国70周年に合わせ、「祖国と人民の前に罪を犯して有罪判決を受けた者ら」に8月1日から大赦(たいしゃ)を実施する7月12日付政令を発布したと報じた。大赦は「祖国解放70年」と朝鮮労働党創建70年に際して2015年8月に行われて以来、3年ぶり。

 政令は、内閣と各機関が大赦で釈放された人々が落ち着いて働き、生活できるよう対策を立てるとした。

 党機関紙、労働新聞は16日、1面に政令を掲載。金正恩キム・ジョンウン)党委員長の「崇高な人民重視、人民尊重、人民愛の政治で党と人民の絆が強まっている」と強調した。金氏が「大慶事」と位置付ける建国70年の節目を前に、金氏の人民愛を前面に押し出し、国民の結束を促す狙いがあるとみられる。

 北朝鮮国内の人権侵害に対し、米国などで批判が続く中、人道的配慮を国際社会にアピールする思惑もありそうだ。恩赦の具体的な対象や規模は不明で、収容所に送られた政治犯にも適用されるかが注目される。

 韓国では「スパイ罪」などで北朝鮮が拘束中の韓国人6人の解放につながるかにも関心が持たれている。