<都市対抗野球>「自分が引っ張る」鷺宮製作所エース野口(毎日新聞)

●伯和ビクトリーズ(東広島市) 2-4 鷺宮製作所(東京都)○

 鷺宮製作所(東京都)のエース左腕・野口が今大会初の完投勝利を挙げた。8安打を許しながらも2失点。創部60周年を迎えたチームに10年ぶりの白星をもたらした。「期待されている中で勝てて、ホッとしている」と汗をぬぐった。

 最大のピンチは九回に訪れた。連続長短打を許して2点差に迫られる。一発を浴びれば同点の1死三塁の場面で、目良監督がマウンドへ。交代と勘違いした野口だが、監督から掛けられた言葉は「後は頑張って」。低めに制球することだけを意識し、狙い通り後続を打たせて取って、試合を終わらせた。

 直球は常時130キロ台前半だが、右打者の内角をえぐるカットボールや緩い変化球を駆使して、打者のタイミングを外すのが野口のスタイルだ。その投球が生きたのも、三回に打者一巡の攻撃で逆転した打線のおかげ。昨年末の約2カ月で10万スイングをこなした成果を披露した。

 9年ぶり出場の鷺宮製作所(東京都)。昨年はNTT東日本の補強選手として中継ぎで優勝に貢献した4年目の野口にとっても、自チームでは初めてのことだ。「経験のない選手が多いので、自分が引っ張る」と野口。投手陣のリーダー役が大舞台のマウンドで範を示した。【長宗拓弥】