高安が薄氷の勝利、2敗死守「勝つことが大事」(産経新聞)

高安が何とか2敗で踏みとどまった。3横綱と新大関栃ノ心が休場し、本来なら場所を引っ張っていかなければならない立場。無敗の御嶽海に重圧をかけられる星の差2つを死守し、辛うじて大関の面目を保っている。

 玉鷲戦は薄氷を踏むような相撲だった。立ってかち上げを狙ったが、空振り気味で体が浮いてしまう。圧力に負けて土俵際まで後退すると右回りに1回転。標的を失った玉鷲が勢い余って土俵の外へと飛び出していった。

 大関の責任を痛感しているからこそ、内容はともかく「勝つことが大事」と自身に言い聞かせる。現時点で自力優勝の可能性は消えているものの、「しっかり自分の力を出して、1日1日、悔いのない相撲を取りたい」と懸命に前を向く。

 カド番脱出へあと1勝に迫った。場所前に「千秋楽まで優勝争いに加わっていたい」と誓っていた角界の看板力士である。「初日に比べればよくなっている」と体の状態も上向いており、勝ち越しを通過点に御嶽海の背中を追い掛ける。(奥山次郎)