<西日本豪雨>親が片付け中に子供預かるボランティアも(毎日新聞)

西日本豪雨の被災地では、幼い子供を持つ被災者向けに預かり保育が始まった。親が家の片付けなどに追われ、土ぼこりが舞うなど周辺環境も悪化しているためだ。連休中はボランティアのスタッフも参加し、一役買っている。【高橋祐貴、林田奈々、今野悠貴】

【写真】厳しい暑さが続く中、作業を続けるボランティア

 約4600世帯が浸水した岡山県倉敷市真備(まび)町地区。市は3連休中、浸水を免れた2幼稚園を開放している。このうち市立薗(その)幼稚園では15日、3~7歳の12人を預かり、女子大学生ら10人以上がボランティアで来園。一緒にかくれんぼや鬼ごっこをし、明るい声が響いた。

 小学1年の息子を預けた40代の母親は「自宅の片付けだけでなく、役所の手続き、今後の生活を考える時間にも充てられる」と感謝。2人の娘がいる別の女性は「自宅周辺はほこりが舞い、遊ばせるのが心配だったのでありがたい」と話した。

 市によると、真備町地区には幼稚園や保育所が11カ所あり、計約650人の子供が通う。今回の災害でうち7カ所が水没。被災者の要望で2幼稚園で緊急の預かり保育を行い、他園の子供も含めて受け入れることにした。

 市は真備町地区以外の地域の園で受け入れが可能か検討中。ただ、各施設は待機児童を抱えており、市担当者は「希望に沿えるかは分からない」と言う。県は18日から、乳幼児の遊戯スペースを備えた岡山県立大(同県総社市)で被災した子供を無料で預かるサービスを始める。送迎バスも運行し、8月中旬まで続ける方針だ。

 土砂崩れなどで大きな被害が出た愛媛県宇和島市の吉田町地区でも、被災者向けの預かり保育が行われている。7月末まで入園していない子供も受け入れる予定。

 市立吉田愛児園では12~15日に4人を預かった。市保育協議会から保育士が派遣され、休日もボランティアが常駐している。自宅が床上浸水し、9カ月の長女を預けた公務員、山下彩乃さん(24)は「育休中に被災し、土砂のかき出しなどに連日追われている。ほこりもひどく娘の感染症も心配だったので助かる」と話した。

 森口君代園長は「衛生面や暑さに注意しながら、保護者の力になれたら」と語った。