4校連合が市船橋から先取、部を1人で守った女子マネ涙(朝日新聞デジタル)

(15日、高校野球西千葉大会 市船橋12―2関宿・流山・清水・船橋豊富)

 「いけるよー」

【写真】試合後、言葉を交わす船橋豊富の栃原莉奈マネジャー(右)と武藤陸君=2018年7月15日午後2時0分、千葉県柏市柏の葉球場、松島研人撮影

 一回表、関宿・流山・清水・船橋豊富の4校連合チームの応援席で、船橋豊富のマネジャー、栃原莉奈さん(3年)は必死に叫んでいた。無死二、三塁の好機、3番打者が左中間二塁打を放ち2点を挙げると、栃原さんは笑顔で跳びはねた。試合ができた上に、甲子園に7回出場した学校から先取点まで――。そんな喜びをかみしめていた。

 栃原さんは、この春まで、船橋豊富の野球部を1人で守り続けてきた。高校野球にあこがれて入部したものの、1年の夏に先輩が引退し、1人に。「他の部に行け」と先生に言われても、「私がやめたら廃部になる」と校舎の掃除やグラウンドの整備を続けた。

 この春、念願の新入部員が来た。武藤陸君(1年)だ。ノックの練習でボールを握ったとき、うれしくて思わず泣いてしまった。

 連合チームの練習は週1回。朝4時に起き、2時間かけて練習拠点の関宿に向かった。「バットを振る選手を見られるのが何より楽しい」と栃原さんは話す。

 この日、武藤君はベンチに戻る選手に水を渡し、声援を送ってチームを支えた。コールド負けだったが、「甲子園に出ている学校から先取点がとれて楽しかった」と笑顔を見せた。

 今度は、武藤君が船橋豊富のただ一人の部員になる。「栃原さんのおかげで僕は野球部に入れた。来年は絶対に部員を集めます」。そう話す武藤君を見て、栃原さんの目から大粒の涙がこぼれた。=柏の葉(松島研人)