<山車>「静御前」 1年がかりの修理が終わる(毎日新聞)

豪華絢爛(けんらん)な山車の競演で知られる栃木市の「とちぎ秋まつり」の主役のひとつで、市内最古の山車「静御前」=栃木県指定有形民俗文化財=の1年がかりの修理が終わり、同市万町のとちぎ山車会館で展示されている。11月9~11日のまつり本番には、お色直しした姿で市内を巡行する。【太田穣】

 静御前は江戸時代末期の1848年、江戸の人形師、松雲斎徳山が制作した。1874年に当時同市に置かれていた県庁での祭典の際、地元有志が東京・日本橋から購入したとされる。高さ7メートル、長さ3.8メートル、幅2.2メートルで、人形は源義経の妻静御前。同市倭町3丁目自治会(沢井康男会長)が所有している。

 制作から170年が経過し、車軸や車輪、櫓(やぐら)など木製の構造部や緋色(ひいろ)のラシャ地に金糸で若松を刺しゅうした「見送り幕」などの傷みが進んだため、昨年5月、同市観光協会自治会などが「江戸形人形山車修理保存委員会」を設立。構造部は同市内の専門業者「大兵工務店」(山本兵一社長)、見送り幕は女子美術大の岡田宣世教授に依頼し、修繕した。

 費用は約1200万円で、東日本鉄道文化財団から300万円の補助を受けた。

 7月上旬には大川秀子市長が同会館を訪れ、岡田教授、山本社長から修繕の方法などについて説明を受けた。沢井自治会長は「文化財としての価値も高く、修繕できてうれしい」と語った。大川市長は「私たち女性のあこがれの山車。苦労もあるだろうが、これからも大切に守ってほしい」などとねぎらった。