横浜隼人、Y校に敗れる「球場全体が相手側の雰囲気に」(朝日新聞デジタル)

全国高校野球選手権記念神奈川大会は15日、2回戦18試合があった。体にこたえる暑さが続く中、横浜隼人が敗退するなどシード勢も苦戦する熱戦が続いた。保土ケ谷球場では、内野に入りきらない観客のために今大会で初めて外野を開放した。16日は8球場で16試合が予定されている。

【写真】試合後に健闘をたたえ合う横浜隼人横瀬主将と横浜商・稲妻主将


■空見上げ 声かけ続け 横浜隼人横瀬主将

(15日、高校野球南神奈川大会 横浜商9―5横浜隼人

 「相手への応援を、自分たちへの応援だと思おう」。5―3に勝ち越した直後の八回表、これまで無失策だった横浜隼人の守備が乱れた。暴投で1点差に詰め寄られた直後、内野陣はマウンドに集まり、遊撃手の横瀬辰樹主将(3年)は、いつもと同じ言葉を、笑顔で伝えた。その後、内野陣は空を見上げ、足元を見て、軽くジャンプした。

 試合中も、長打や失策が出るとすぐに投手に駆け寄り、声をかけ続けた。昨夏の神奈川大会の5回戦で、0―1で敗れた。相手の応援で一気に球場の雰囲気が変わったのを味わった。「失策をしたり、打たれたりするとすごく落ち込むことは知っていたから、自分から声をかけようと思っていました」

 しかし、横浜商のスタンドからの声援は、どんどん大きくなる。「球場全体が相手側の雰囲気になってしまった」。失策や長打で、一挙に6点を奪われた。

 九回裏2死、横瀬主将は次打者席で「打ってくれ!」と叫び、打席を見守った。だが、三振で試合終了。相手の校歌を聞きながら、涙をおさえられなかった。

 「打撃の(横浜)隼人」と長年、言われてきた。水谷哲也監督は、今年のチームを「『スモールベースボール』になった」と評する。犠打をすると、「隼人がここまでやるのか」と驚かれることも。だが、この試合も4犠打を成功させ、投手陣の継投で、僅差(きんさ)の展開が続いた。

 水谷監督は「投手中心の守りのチームを作ったが、そこでミスが出た。ノーエラーのY校(横浜商)との差。監督の責任です」。横瀬主将は「今までにない隼人を見せようと思ってやってきた。失敗も多かったけど、やってきたことはできたと思います」。目は真っ赤だった。(神宮司実玲)