甲子園挑む作新の友に「頑張れ」 萩野公介ロンドンの夏(朝日新聞デジタル)

第100回の大きな節目を迎える高校野球について、栃木県出身の五輪競泳金メダリスト、萩野公介選手(23)に話を聞いた。

 ――野球はご覧になりますか

 毎日のように見ます。高校野球も必ず見ますよ。野球好きの友達と、「今年はあそこが勝つだろう」と毎年盛り上がります。

 それでも、自分が応援するのはやはり栃木勢、中でも母校の作新学院ですね。栃木大会を7連勝中なので、なおさらです。

 ――作新学院では野球部の友達はいましたか

 中学からの同級生、布瀬恭平さんが野球部でした。2012年の高3の夏、自分はロンドン五輪、彼は中堅手として甲子園で戦っていました。分野は違えど、一緒に頂点を目指して戦っているのがうれしくて「頑張れ」と伝えていました。

 作新学院でレギュラーになること自体、とても大変なのに、その座を勝ち取り、甲子園で力を発揮しているのを見ていると、勇気をもらいました。

 高校野球って、プロの世界とは違い、純粋な気持ちで頑張っているのがにじみ出ますよね。一試合一試合にかける思いを感じますし、どの学校の球児も応援したくなります。

 ――大会は数日後に迫っています。球児たちはどう過ごせばいいでしょう

 高3の皆さんは、高校野球ができる最後の大会と考えると普段通りのプレーができなくなるのでは、と緊張してしまうかもしれません。そんな時こそ、いつもと同じことをするんです。いつものルーティンの中に自然と溶け込み、気持ちが落ち着いていきます。

 高校時代に自分の好きな野球に打ち込める瞬間は、大人になっても「あの時こうだったよな」と、いつまでも語り続けられるものです。そんな幸せな瞬間を皆さんは経験している真っ最中なんです。

 失敗をしたらどうしようと考えるより、一瞬一瞬を楽しんでください。

 私自身も、2020年の東京五輪が、自分にとって最後の五輪になると思います。ずっと水泳を続けることができないからこそ、今しかできないことを大切にして楽しみたいです。

 ――今年の夏は100回目の大会です

 大きな節目ですね。100歳上の先輩たちからずっと引き継がれてきたバトンをしっかり受け止め、正々堂々と戦ってほしいです。ただ、けがだけはしないでくださいね。体を大切にしてください。(聞き手・宮田真衣)


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 はぎの・こうすけ 1994年、栃木県小山市出身。生後6カ月で水泳を始め、作新学院から東洋大へ進学。2012年のロンドン五輪400メートル個人メドレーで銅メダル、16年のリオデジャネイロ五輪400メートル個人メドレーで金メダルを獲得。身長177センチ、体重71キロ。