昨季1試合全ポジション守り、今季はトラウト、プホルスを抑えたロマインに聞く(スポーツ報知)

12日のエンゼルスマリナーズ戦で、8点差をつけられたマリナーズは野手アンドリュー・ロマインをマウンドへ送った。1回を投げ、2安打1四球2失点ながらも、主砲マイク・トラウトは中飛、この試合2本塁打アルバート・プホルスはニゴロに打ち取った。タイガースに所属していた昨年9月30日ツインズ戦ではメジャー史上5人目の1試合全9ポジションでプレー。今季もすでに捕手以外の全ポジションで出場済みのスーパーユーティリティプレーヤーに話を聞いた。

(聞き手・金岡 美佐通信員)

 ―昨季9月末の試合で全9ポジションでプレーすることになったきっかけは?

「オースマス監督(当時タイガース)から『全ポジションでプレーしたことあるか?』と聞かれ、『メジャーではない』と答えた。すると監督は、『私はメジャーの選手が前回全ポジションでプレーした試合に出場していた』と切り出した(注釈:2000年にシェーン・ホルターが全ポジションでプレーした試合)。監督は捕手だったが、その試合では三塁でもプレーした。『やってみたいか?』と聞かれて、『是非やりたい』と答えると、『そうか。ならその方向で準備しよう』と言ってくれた。それから2年後。色々な要素が噛み合ってようやく実現した。ツインズはすでにポストシーズン進出を決め、タイガースはその可能性が消えていた。両チームにとって、完全なる消化試合だった。ポジション変更を強いられるチームメートの了解を得なきゃならなかったし、対戦相手の了解も得なきゃならなかった。準備は色々大変で、条件が揃わないとできない。クレイジーだった。でも楽しかった」

 ―メジャー昇格前には全ポジションでプレーしたことがあった?

 「捕手をやったのはあの試合が初めてだった。それ以外のポジションは経験済みだった」

 ―捕手でもプレーするにあたり、弟(ヤンキースの控え捕手オースティン・ロマイン)からアドバイスを求めた?

 「そう。でも『色々と教えることがあり過ぎる。とにかく球を受けろ』と言われた。『えっ、それだけ?』と呆気にとられたよ」

 ―試合は1点差の接戦だった。

 「そう。1点差で勝てた。僕が捕手でプレーしている最中に走者が二塁まで進めば、捕手を交代することになっていた。僕が全ポジションをプレーしたいがために、投手の防御率を上げるわけにはいかない。4打者の打席で捕手を務めた後、捕手はお役御免となり、二塁手に戻った後、次の回からマウンドへ上がった。1打者だけだったが、アウトを取れた。(昨季は球宴に出場した)ミゲル・サノを三ゴロに打ち取れたんだ。捕手で出ていた時は本当に緊張したよ。心臓がドキドキしていた。でも本当に楽しかった。子供の頃に戻ったみたいだった。メジャーデビュー戦よりも思い出に残っている。2014年にはポストシーズンにも出場することができたけど、全ポジションで出場した試合はとにかく最後までドキドキだった」

 ―NYタイムス紙にイチローが即席で打撃指南をしているとの記事があり、あなたのコメントも引用されていましたね

 「そう。試合の4回ぐらいになると、僕はクラブハウス内の打撃ケージに入る。代打出場の可能性に備えて準備するためだ。マシンを相手に練習していると、イチローが『僕が投げようか?』と聞いてくれるんだ。ほぼ1日おきぐらいに投げてくれている」

 ―試合で投げている投手の攻略法などのアドバイスも受ける?

 「特定の投手に関してはではなく、スイングや打席への臨み方についてだね。特にメンタルの部分で、どう気を落ち着かせて、打席に入る前から試合のシナリオを頭の中で描いておくことなどだね」

 ―チームは17年ぶりのポストシーズン進出にも期待できる

 「みんなやる気満々で、試合を楽しんでいる。試合は楽しくあるべきで、それが一番重要なことだ。だが、プレーオフに出ることも重要だ。それができるメンツも揃っている。今やっていることを今後もやり続けることができれば、チャンスはある。試合に集中し、他チームのことに気を取られないことだ」

 

 ◆アンドリュー・ロマイン ユーティリティー選手 32歳 右投両打。アリゾナ州立大学を卒業後、2007年にエンゼルスからドラフト5巡で指名され、2010年に同球団でメジャーデビュー。2014年から17年まではタイガースに所属し、今季からマリナーズへ加入。父のケビンは外野手。弟オースティンはヤンキースの控え捕手。