豪雨と地震、被災住宅支援に違い 京都府内、法適用の有無で(京都新聞)

6月18日の大阪府北部地震と7月上旬の西日本豪雨は、京都府内で計5千棟を超える住宅に被害をもたらした。被災者生活再建支援法の適用によって府独自の補助金を上乗せできる豪雨対策と、未適用の地震対策では、住宅再建を巡る支援の内容に違いが出ている。
 同法が適用された綾部市の被災住宅には、国が全壊と大規模半壊の再建に最大300万円補助する。府の独自制度は府内の一市町村でも法適用を受けると、全市町村での利用が可能になることから、今回の豪雨被害では、被災した全市町が対象になる。府制度では全壊で上限300万円、大規模半壊で上限250万円を補助する。国制度の対象外となっている半壊にも上限150万円、一部破損・床上浸水にも上限50万円をそれぞれ補助する。補助は、住宅の建て替えや補修などが対象だが、5万円までは清掃や家具などの購入費にも使える。ただ、府内で2千棟を超す床下浸水被害は対象から外れている。
 補助金は府が3分の2、市町村が3分の1を負担する仕組み。被災者からの補助金の受け付けはすでに京都市が開始している。7月中に舞鶴市綾部市宮津市が、ほかは8月以降にそれぞれ始める見通し。
 府は、法適用を根拠に住宅金融支援機構などの災害復興住宅融資に対する5年間の利子補給も行う。綾部、舞鶴両市は府の協力を得て、半壊以上の被害を受けた市民向けに府営・市営住宅の入居を原則来年1月末まで無償で受け入れる。
 一方、大阪府北部地震は法適用されず、京都府は被災者に豪雨と同じ支援を提供していない。しかし、府内では南部を中心に瓦が落ちたり、壁に亀裂が入ったりして2千棟超の建物被害が生じているため、府は「苦肉の策」として既存制度の変更で対応している。
 木造住宅耐震改修助成制度の対象について、耐震基準が新しくなった1981年以降に建った物件にも広げた。罹災(りさい)証明書がある被災者が復旧工事に合わせて屋根や壁などを耐震化した場合には、30万~40万円を助成する。
 バリアフリー化などの支援を目的としていた府の21世紀住宅リフォーム資金融資制度も住宅補修などに用途を広げた。上限350万円、年利0・5%で、利用には罹災証明書が必要。府住宅課は「できる限りの対応で生活再建を支援したい」としている。
 京都市は、被災者住宅再建支援制度を今回の地震にも独自に適用している。
 問い合わせは府住宅課075(414)5366、木造住宅耐震改修助成については府建築指導課075(414)5349。各関係市町村でも受け付けている。
京都府の住宅再建の支援制度
西日本豪雨
▽地域再建被災者住宅支援
全壊=上限300万円、床上浸水=同50万円など
※法適用の綾部市は国補助を含め全壊=上限450万円、大規模半壊=上限350万円
▽住宅再建融資などの利子補給
年0.55%、5年
▽府営・市営住宅の無償提供
舞鶴市綾部市。原則来年1月末まで
大阪府北部地震
▽木造住宅耐震改修助成
耐震改修と合わせた復旧に上限30万~40万円
▽21世紀住宅リフォーム資金融資
上限350万円、年利0.5%