マサ斎藤さん死去“巌流島”で猪木と2時間超の死闘(デイリースポーツ)

日米のプロレス界で長きにわたって活躍したマサ斎藤さん(本名・斎藤昌典)が14日に死去したと、健介オフィスが16日、発表した。75歳だった。晩年はパーキンソン病のリハビリに励んでいたというが、プロレスラーとしてのハイライトは87年10月4日、アントニオ猪木と対戦した「昭和巌流島の決闘」だろう。当時のデイリースポーツの紙面をもとに再現する(以下、敬称略)。

 1612年に宮本武蔵佐々木小次郎が決闘した巌流島に設置した特設リングで一騎打ちした試合。この島は山口県下関市関門海峡に浮かぶ無人島で、正式な島の名称は「船島」という。時間無制限、「互いのプライドがルール」、観客のいないノーピープル戦で行われた。

 立会人を務めた坂口征二山本小鉄の両氏が午後4時半と試合開始を宣言しても、猪木は用意されたテントから出てこず、じれた斎藤が先にリングに上がる。

 にらみ合いから猪木は予告通りに絞め技で攻撃。大技は猪木のバックドロップのみという静かな攻防が繰り広げられた。

 日没後、照明とかがり火がたかれると、リング外の攻防へ。猪木の頭突き4連発で斎藤の頭が割れ、流血。斎藤もかがり火のまきで猪木を殴り、両雄とも血をしたたらせた。

 再びリングに舞台を戻すと、猪木はブレーンバスター、斎藤は延髄斬り、バックドロップと決め技をたたみかける。最後は野戦となり、猪木が裸絞めをがっちりと決め、斎藤が崩れ落ちた。血みどろの殴り合いの末、猪木が裸絞めで2時間5分14秒、KO勝ち。死闘の後は両者とも無言で決戦の地を後にした。