ポケットのカプセル、きっとプロの舞台へ 波佐見の主将(朝日新聞デジタル)

(16日、長崎大会3回戦 長崎東8―2波佐見)

 力を貸してくれ――。6点を追う八回裏、波佐見の内野裕太主将(3年)はズボンの右後ろのポケットに触れた。なかには祖父と曽祖母の遺骨が入った小さなカプセルがある。プロ野球選手になる夢を応援し、楽しみにしてくれていた。

【写真】内野が持ち歩いている、祖父と曽祖母の遺骨が入ったカプセル=長崎県

 練習中も身につけ、空を見上げて素振りすることもあった。「2人が力になってくれる気がして」。しかし、左飛に倒れ、次の回で試合は終わった。

 昨夏、甲子園の土を踏んだ内野。新チームは公式戦で優勝できず、「自分がチームを勝たせないと、と思ってきつかった」という。「思い切り暴れよう」と気持ちを切り替えて臨んだ夏だったが、プレッシャーなどから本来の自分たちの動きはできなかった。

 試合後、「このままじゃ終われない。絶対プロに行きます」とカプセルを握りしめた内野。ほおには涙のあとが残っていた。=県営(弓長理佳)